トップ見られ方違うタイプの取扱説明書

複眼道場

違うタイプの
取扱説明書で運用される

エニアグラムを学ぶと、自分のタイプの輪郭が見えてきます。ここでひとつ、見落とされやすい問いがあります。周りはあなたを、何タイプとして扱っているか。あなたが自分のタイプを知っていることと、周りがそのタイプの取説で接してくれることは、別の話です。

人は、見えたタイプの取説で接してくる

周りの人は、あなたの動機を見ることができません。見えるのは外側だけ──表情、口調、ふるまい、見た目。人はその外側から人物像を組み立てて、その人物像に合った接し方を選びます。いわば、見えたタイプの取扱説明書を開いて、あなたを運用している。

ここで、見えたタイプと実際のタイプが一致している保証は、どこにもありません。エニアグラムでは「自分のタイプを取り違える」ことがよく話題になりますが(タイプを自分で決める)、それとは別にもう一つの取り違えがあります。あなたは正しく自分を知っているのに、周りが別のタイプの取説で運用してくる、という取り違えです。

取説の取り違えが起こすこと

いくつか、起こりがちな構図を挙げます。いずれも「そういう傾向が出やすい」という構造の例です。

素顔周りが開いている取説起きやすいこと
支配されたくない核(8系)穏やかな調停役(9系の取説)我慢役・受け流し役を期待され、踏み込まれる。反発すると「急に怖くなった」と驚かれる
自分らしさが核(4系)成果を出す人(3系の取説)成果マシンとして運用され、内面の手触りを誰にも聞かれない
安全と支えが核(6系)頼れる柱(8系の取説)単独の決断と牽引を期待され、不安を口にする席がない
取説の取り違えの例(構造の説明であり、断定ではありません)

共通するのは、期待されている役と、素顔の燃料が違うことです。役はこなせてしまうことも多い。こなせてしまうから、取り違えは訂正されないまま続き、消耗だけが内側に積もります。

「らしく見られる」のも、無料ではない

では、見えたタイプと実際のタイプが一致していれば安泰かというと、そうでもありません。一致している人は誤解の摩擦から自由ですが、代わりに像の固定という固定費を払います。「らしいね」と言われ続けることは、らしくない一手を打ちにくくなることでもあります。タイプはパターンであって檻ではないのに、周りの取説が檻として機能しはじめる。

取説のズレは、タイプ仮説のヒントにもなる

逆向きの使い方もあります。周りからの扱われ方と、自分のタイプ仮説が大きく食い違うとき、それは二通りに読めます。一つ、見た目と素顔のあいだにギャップがある。二つ、タイプ仮説のほうが揺れている

「周りはわたしを9として扱う。自分では8だと思っている」── このズレ自体が、自分の動機を深掘りする良い入口になります。診断ツールでタイプは確定しません。決めるのは本人です。その検討材料として、「周りの取説」は意外と上質なデータです。

取説は、書き換えられるか

周りの取説を書き換える方法は、大きく三つ知られています。期待に見せ方を合わせる。柔らかい入口で警戒を解いてから素顔を出す──ずらす。期待そのものを間違いだと示しに行く──書き換える。どれが正解ということはなく、場面で使い分けるものです。

三つの戦略の使い分けは、この記事の射程を超えるので、研修「見られ方の戦略」で扱っています。まずは「周りはいま、何の取説を開いているか」を観察するところから始めてみてください。

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