人間関係の中の融合(SX)
人間関係で見ているもの:一人の相手と、その人との距離
融合が優勢の人が人といるとき、注意は場全体より、一人ひとりに向きます。この人はどんな人か。どこまで深く話せるか。自分に関心を向けてくれているか。肩書きや役割を越えて、その人自身に近づこうとします。
融合は、性的という意味ではありません。注意が向く相手は、恋人とは限らず、友達や仕事仲間のこともあります。人ではなく、没頭できる仕事や趣味に向くこともあります。一つの相手に強く惹かれて、そこに注意が集まるなら、融合の注意が働いています。
大勢の場:深く話せる一人を探す
大勢の場にいると、融合が優勢の人は、深く話せそうな一人を探しています。動きとしては、こう出ます。当たり障りのない会話には、相槌が短くなる。気になる人が見つかると、その人の隣に移る。話し込んでいるうちに、周りが話に入りにくくなる。
見つからないと、退屈そうに、素っ気なく見えます。周りからは、「愛想がない」「つまらなそうにしている」と見えることがあります。本人の中では、楽しくないというより疲れています。浅い会話が長く続くと、人が多い場そのものから足が遠のく人もいます。
大勢の場でよく話すタイプの融合もいます。場を盛り上げているように見えて、実際には、一人ひとりと短く濃いやりとりを順番に重ねている人です。話すか黙っているかは人によって違います。共通しているのは、注意が場全体より、一人ひとりに向いていることです。
二人の場:急に話が濃くなる
二人になると、融合が優勢の人は急に話が濃くなります。相手が何を考え、何を大事にしているかを聞きにいきます。自分のことも話します。会って間もない相手でも、ふだん人に話さないことまで話していることがあります。
大勢の場との差は、三つの本能の中でも大きく出ます。「最初は冷たい人かと思った」「二人で話したら、急に距離が近くなった」と言われるのは、差が大きいからです。本人の中では一貫していて、大勢の場でも二人の場でも、一人の相手を見ています。大勢の場では、相手がまだ見つかっていません。
初対面から長い付き合いまで
融合は、人数と付き合いの長さの両方で変わります。二人で、仲良くなってからいちばん濃く見えます。
惹きつける
一体になる
惹かれる、惹きつける、という部分は、初対面から出ます。初めて会った日に何時間も話し込む。気になった人に、自分から連絡先を聞く。この人とは合う、合わない、の判断が早いのも、惹かれる部分の働きです。
仲良くなってから見えてくるのは、踏み込むことと、相手と一体になろうとすることです。連絡の回数が一気に増える。相手の好きなものを、自分も好きになっていく。相手の悩みを、自分のことのように抱える。踏み込みと一体化は、初対面の場では見えません。
関係が浅いまま続くと、熱が下がっていきます。何度会っても、当たり障りのない話から先に進まない相手とは、だんだん会わなくなります。周りからは「急に冷めた」と見えますが、本人の中では、近づけなかった関係から少しずつ離れているつもりのことが多いです。
ほかの本能の人から、どう見えるか
社会が優勢の人から見ると
大勢の場では、輪に入ってこないように見えます。特定の誰かとばかり話し込んで、場が分かれてしまうのが気になる。二人で会うと、急に踏み込んだ質問をされて、どこまで答えればいいか迷う。周りの人や立場のことには、関心がないように見えます。
逆に、融合が優勢の人から社会が優勢の人を見ると、二人でいても、どこか浅いと感じられることがあります。社会が優勢の人は、相手を関係や場の一部として丁寧に扱います。丁寧な扱いが、融合が優勢の人には、人間としてではなく、場として扱われている、と感じられます。詳しくは人間関係の中の社会(SO)に書いています。
自己保存が優勢の人から見ると
距離の詰め方が早い、と見えます。会って間もないのに深い話をしてきたり、連絡が急に増えたりして、ペースを乱される。熱心さはありがたいけれど、少し疲れます。自己保存が優勢の人は、時間をかけて、少しずつ自分の暮らしの中に人を入れていきます。融合が優勢の人には、ゆっくりしたペースが、なかなか内側に入れてもらえない、と感じられます。
「重い」「急に冷める」と言われるとき
近づくときの速さと、離れるときの速さの両方を見た人ほど、「重い」「熱しやすく冷めやすい」と感じることがあります。本人の中では、どちらも同じことをしているつもりのことが多いです。近づけそうな相手には近づき、近づけないと分かった相手からは離れる。周りからは、その切り替えが急に見えます。
ぶつかったとき
融合が優勢の人が強く反応するのは、自分が軽く扱われたと感じたときです。話を真剣に聞いてもらえない。ほかの人ばかり大事にされている。近いと思っていた相手が、急によそよそしくなる。
ぶつかったときは、距離を置くより、正面から向き合うことが多いです。言い合いになっても、話すことをやめません。本気でぶつかったあと、むしろ関係が近くなることもあります。いちばんこたえるのは、ぶつかることもできないまま、相手の熱が冷めていくことです。返事が短くなる。会う理由をつけてもらえなくなる。
付き合い方:相手によって変える
本能の組み合わせによって、噛み合いやすいところと、ずれやすいところがあります。相性のよしあしではなく、攻略法として読んでください。相手の本能は決めつけず、相手の振る舞いから当たりをつけるくらいで使います。
融合が優勢の人が、ほかの人と付き合うとき
社会が優勢の相手
- 大勢の場の姿を見て、話を聞かない人だと決めない。二人で会うと、よく聞いてくれる
- 二人でも浅いと感じるのは、手を抜かれているからではない。相手は、関係や場を通して人を大事にしている
- もっと深く話したいなら、自分から一歩踏み込んだ話をする。場の話に戻っても、拒まれたわけではない
融合が優勢の相手
- 初対面からすぐに深い話ができる。一気に近づくぶん、相手とのやりとりが少し落ち着いても慌てない
- ぶつかるのは、関係を続けたいからこそ、ということが多い。言い過ぎたら、あとで自分から謝って話し直す
- 二人の時間を濃くしすぎて、周りの人とのつながりがおろそかになっていないか、ときどき見る
自己保存が優勢の相手
- 距離は少しずつ詰める。最初から深い話を求めない
- 会うのは相手の慣れた場所で、時間を区切る
- 体調や予定の話を、関係が浅いしるしと受け取らない。暮らしの話が、この人にとっては深い話であることもある
融合が優勢の人と付き合うとき
社会が強い人から
- 大勢の場で融合が優勢の人が話し始めたら、場を回すより、話を最後まで聞く
- 深い話をしたそうなら、その場で広げず、「今度二人で話そう」と約束しておく
- 二人のときは、共通の知り合いの話を続けすぎない。相手の立場や役割より、その人自身が何を考えているかを聞き、自分自身の話もする
自己保存が強い人から
- 距離を詰められて疲れたら、ペースをはっきり言う。断っても関係は切れない、と一緒に伝える
- 深い話を振られたら、話せるところまで話す。全部でなくていい
- 相手は、表面的な扱いに傷つきやすい。短くても、本気で答える
同じ融合でも、タイプで中身が変わる
融合が優勢でも、一人の相手に何を求めているかは、エニアグラムのタイプによって変わります。囚われが強く出ているときには、こんな形で出やすくなります。
| タイプ | 近い相手との間で気になりやすいこと |
|---|---|
| 1 | 相手が「こうあってほしい」姿でいるか。大事な人ほど厳しくなる |
| 2 | 相手にとって、特別な一人でいられているか |
| 3 | 相手の目に、魅力的な自分が映っているか |
| 4 | 深く分かり合えているか。近づくほど、相手の足りないところと、自分に足りないところの両方が目につく。相手にあって自分にないものが、うらやましくなる |
| 5 | この相手になら、どこまで本音を話せるか |
| 6 | この相手を信じていいか。信じたい気持ちと疑う気持ちが一緒に出る |
| 7 | 一緒に盛り上がれているか。熱が続いているか |
| 8 | 相手が本気で向き合ってくるか |
| 9 | 相手と一緒にいられているか。気づくと、相手の好みに合わせている |
同じ「二人になると話が濃くなる」でも、特別な一人でいたくて近づいている人と、本音を話せる相手か確かめながら近づいている人では、関係が長くなったときの出方も違います。本能は、どの場面でその人らしさが出るかを、タイプは、その場面で何を守ろうとしているかを教えてくれます。
自分で気づくには
融合が優勢かもしれないと思う人は、大勢の場のあとに何を覚えているかを思い出してみてください。場で何が起きたかより、誰と何を話したかを覚えている。話したかった一人と話せなかった日は、行かなければよかったと思う。そういうことがあれば、一人の相手を見ている自分に気づく手がかりになります。
気づけると、選べるようになります。目の前の一人に踏み込むのか、今日は場の話に付き合うのか。どちらがよいということではありません。踏み込んでくれる人がいることで、初めて本音を話せた人もいます。変わるのは、自動でそうなっているのか、自分で選んでそうしているのか、です。