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人間関係の中の自己保存(SP)

なぜ、いちばん遅く見えてくるのか
初対面では、落ち着いた人、控えめな人に見える。集まりには来るけれど、早めに帰る。それなのに、行き慣れた店や自分の家では、よく笑い、よくしゃべる。何年も付き合ってから、暮らしの整え方の細かさに初めて気づく。本能のサブタイプで自己保存(SP)が優勢の人は、三つの本能の中で、いちばん遅く見えてきます。自己保存が優勢の人が人間関係で何を見ているのか、場面と時間でどう見え方が変わるのか、ほかの本能の人とどう付き合うとよいのかを見ていきます。人が場面で変わって見える仕組みそのものは、「みんなといるときと別人」と言われる理由にまとめています。

人間関係で見ているもの:自分の体と暮らし

自己保存が優勢の人は、人といても、注意の多くが自分の体と暮らしに向いています。ここは落ち着けるか。疲れていないか。お腹は空いていないか。いつ帰れるか。付き合いの多さより、無理なく続けられる付き合いかどうかを見ています。

自己保存は、ケチや臆病という意味ではありません。人付き合いが好きでも、人に気前よくおごる人でも、自分の体と暮らしが整っているかが先に気になるなら、自己保存の注意が働いています。

人付き合いの中では、いちばん分かりにくい

社会は場に、融合は一人の相手に、注意が向きます。どちらも人そのものに向いているので、何を話すか、誰と話すかにそのまま出ます。自己保存の注意は、自分の体と暮らしに向いています。人付き合いには、間接的に出ます。

何を話すかより、付き合いの条件と量に出ます。どこで会うか、何時に帰るか、どのくらいの頻度で会うか。出方も、来ない、早く帰る、予定を削る、という引き算になりやすい。会話を見ているだけでは、三つの本能の中で、いちばん見えにくくなります。

そのかわり、人付き合いにどれだけの時間と体力を使うか、どこで「今日はここまで」と線を引くかに、自己保存はよく出ます。自分の時間、お金、体力の範囲として、自分と相手の境目も引きやすい。ただ、暮らしの線であって、気持ちの線とは別です。身内のことを自分のことと同じに扱って、気持ちの線が引けない人もいます。

目の前の一人を 大事にする人 自分 相手 境目がなくなるくらい 通じ合いたい 場全体を 大事にする人 場 自分 場の期待に合わせて、 自分の希望が見えにくくなる 自分の居心地を 大事にする人 自分 相手 時間・お金・体力の範囲で 線を引きやすい 暮らしの線と気持ちの線は別。気持ちの線の引き方は、タイプでも変わる
左から、境目をなくしたい人、場の期待に引っ張られやすい人、暮らしの範囲で線を引きやすい人。

大勢の場:その場にいるための体力を気にする

大勢の場にいると、自己保存が優勢の人は、口数が減りやすくなります。動きとしては、こう出ます。端の席や、出入りしやすい場所を選ぶ。料理や飲み物、部屋の温度に先に気づく。疲れてくると、二次会には行かずに帰る。

周りからは、「付き合いが悪い」「この集まりに興味がないのかな」と見えることがあります。本人の中では、場に興味がないのではなく、その場にいるための体力の残りを気にしています。場が楽しくても、明日の予定や睡眠のことが頭から離れません。

大勢の場でよく動くタイプの自己保存もいます。料理を取り分ける、飲み物が切れていないか見て回る、帰りの電車を調べてあげる。場の居心地や段取りを整えることで、場に関わる人です。動くか静かにしているかは人によって違います。共通しているのは、注意が体と暮らしに向いていることです。

二人の場:人数より、場所と体調で変わる

二人になっても、気にしていることは、大勢のときと似ています。社会や融合と違って、自己保存は、人数ではあまり変わりません。違いが出るのは、場所と体調です。

行き慣れた店や自分の家では、よく笑い、よくしゃべります。初めての店や、移動の多い日、寝不足の日には、二人でいても口数が減ります。同じ相手と会っても、会う場所によって別人のように見えることがあります。相手のことを嫌いになったわけではなく、その日の体と場所が合っていなかった、ということもよくあります。

初対面から長い付き合いまで

自己保存は、三つの本能の中で、いちばん遅く見えてきます。初対面の場では、「落ち着いた人」「控えめな人」として見えることが多いです。

自己保存(SP)が見えやすい場面
暮らしぶり
暮らしぶり
上が大勢、下が二人、左が初対面、右が長い付き合い。

見えてくるのは、暮らしぶりです。体の手入れ、お金の使い方、食事の習慣、部屋の片づけ方、寝る時間。こうしたものは、一緒に旅行したり、暮らしたりするくらい近くならないと見えません。何年も同じ職場にいたのに、一緒に出張に行って初めて、朝のルーティンの細かさを知ることもあります。

付き合いが長くなると、自己保存が優勢の人は、少しずつ相手を自分の暮らしの中に入れていきます。家に呼ぶ。行きつけの店に連れていく。自分が使っていて良かったものを、相手にも勧める。自己保存が優勢の人にとっては、自分の暮らしの中に相手を入れることが、近づいたしるしです。

関係が進んで、ぶつかるところが変わることもあります。付き合っているあいだは二人の時間が中心でも、一緒に暮らすと、家計や家事、寝る時間が加わります。融合の話で噛み合っていた二人が、暮らし始めてから、自己保存の違いでぶつかるのは、このためです。

ほかの本能の人から、どう見えるか

社会が優勢の人から見ると

誘っても来ないことがある、来ても早く帰る、と見えます。付き合いが悪いのか、この集まりに興味がないのかと気になる。ただ、決めた約束はきちんと守り、少人数の場では落ち着いて付き合ってくれます。

融合が優勢の人から見ると

穏やかで付き合いやすいのに、なかなか内側に入れてもらえない、と見えます。深い話を振っても、具体的な暮らしの話に戻っていく。距離を詰めようとすると、一歩下がられる。時間をかけると、少しずつ自分の暮らしの中に入れてくれます。

逆に、自己保存が優勢の人から融合が優勢の人を見ると、距離の詰め方が早すぎて、ペースを乱される、と感じられることがあります。詳しくは人間関係の中の融合(SX)に書いています。

「付き合いが悪い」「壁がある」と言われるとき

大勢の場で早く帰る姿や、深い話を受け流す姿を見た人ほど、「付き合いが悪い」「壁がある」と感じることがあります。本人の中では、相手を遠ざけているつもりはなく、無理なく続けられる距離を守っているつもりのことが多いです。

ぶつかったとき

自己保存が優勢の人が強く反応するのは、自分の暮らしやペースを乱されたときです。約束の時間に遅れられる。急に予定を変えられる。お金や食事、睡眠のことを軽く扱われる。人によっては、自分の家や持ち物に、断りなく手を出されたときです。

ぶつかったときは、言い合うより、関わる量を調整することが多いです。会う回数を減らす。家に呼ばなくなる。自分の暮らしの中から、相手を少しずつ外に出す。言葉に出すより先に行動が変わるので、相手からは、急に線を引かれたように見えます。いちばんこたえるのも、自分の暮らしを守れなくなることです。休む時間がない。安心できる場所がない。

付き合い方:相手によって変える

本能の組み合わせによって、噛み合いやすいところと、ずれやすいところがあります。相性のよしあしではなく、攻略法として読んでください。相手の本能は決めつけず、相手の振る舞いから当たりをつけるくらいで使います。

自己保存が優勢の人が、ほかの人と付き合うとき

社会が優勢の相手

  • 誘いに全部合わせなくていい。行ける集まりを選んで、そう伝える
  • 断るときは、次に会える日を一つ添える。相手は、誘うことで関係を保っている
  • たまにでも集まりに顔を出せば、相手には十分に伝わる

融合が優勢の相手

  • 距離を詰められて疲れたら、ペースをはっきり言う。断っても関係は切れない、と一緒に伝える
  • 深い話を振られたら、話せるところまで話す。全部でなくていい
  • 相手は、表面的な扱いに傷つきやすい。短くても、本気で答える

自己保存が優勢の相手

  • 一緒にいて楽な相手で、あまり話さなくても気まずくならない
  • 居心地のよさに慣れて、新しい人や場に出なくなっていないか、ときどき見る
  • お金の使い方や予定の決め方が違うときは、早めにすり合わせる。二人とも、そこを大事にしている

自己保存が優勢の人と付き合うとき

社会が強い人から

  • 大勢の集まりより、少人数で、落ち着ける店に誘う
  • 終わりの時間を先に決めておく。相手は「いつ帰れるか」を気にしている
  • 誘いを断られても、関係を切りたいわけではないことが多い。体力や予定の問題として受け取る

融合が強い人から

  • 距離は少しずつ詰める。最初から深い話を求めない
  • 会うのは相手の慣れた場所で、時間を区切る
  • 体調や予定の話を、関係が浅いしるしと受け取らない。暮らしの話が、この人にとっては深い話であることもある

同じ自己保存でも、タイプで中身が変わる

自己保存が優勢でも、暮らしの中で何を守ろうとしているかは、エニアグラムのタイプによって変わります。囚われが強く出ているときには、こんな形で出やすくなります。

タイプ付き合いの中で気になりやすいこと
1約束の時間や手順が守られているか。相手のだらしなさを黙って直して回る
2近しい人の体調や生活が整っているか。自分の疲れは後回しになる
3きちんとやれている自分でいられるか。弱っているところを見せない
4自分の感じ方が守られているか。分かってもらえないなら一人でいい
5一人の時間と空間を確保できるか
6この相手は信頼できるか。時間をかけて確かめる
7楽しく、心地よく過ごせているか
8身内かどうか。身内を守れているか
9揉めずに、いつもの相手、いつもの場所でいられるか

同じ「早めに帰る」でも、一人の時間を確保したくて帰る人と、無理をしている自分を見せたくなくて帰る人では、近い相手との付き合い方も違います。本能を見るとどの場面でその人らしさが出るかが分かり、タイプを見ると何を守ろうとしているかが分かります。

自分で気づくには

自己保存が優勢かもしれないと思う人は、人と会う予定を決めるとき、最初に何を考えているかを思い出してみてください。誰が来るかより、場所はどこか、何時に終わるか、次の日の予定はどうか。会ったあと、話の中身より、店の居心地や料理のことを覚えている。そういうことがあれば、体と暮らしを見ている自分に気づく手がかりになります。

気づけると、選べるようになります。今日は早めに帰るのか、少し無理をして最後までいるのか。どちらがよいということではありません。体と暮らしを守ってくれる人がいることで、長く続いている関係もあります。変わるのは、自動でそうなっているのか、自分で選んでそうしているのか、です。

人に当てはめない
集まりから早く帰る人が、自己保存が優勢だとは限りません。帰る理由は人によって違います。付き合い方の節も、相手の本能を決めるためではなく、相手の振る舞いに合わせて自分の動きを選ぶために使ってください。本能の並びもタイプも、本人が日常の観察で確かめていくものです。
エニアグラムについて詳しく知りたい方へ

初対面の自分と、暮らしが見える距離の自分を並べてみる

セッションでは、日常のエピソードから三つの本能の並びを一緒に確かめます。職場や集まりの場面と、家族や長い付き合いの人との場面、両方の話を持ってきてもらえると、見え方の違いまで一緒に見られます。

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