本能と、お金と時間の使い方
前提:お金と時間は、大事にしているものに使われる
使えるお金と時間には、限りがあります。どこかに多く使えば、どこかが少なくなります。人付き合いと同じように、お金と時間の使い方にも、厚いところと薄いところが出ます。人付き合いの凸凹の話は、「みんなといるときと別人」と言われる理由に書いています。
「ケチ」「浪費家」「付き合いで散財する」は、外から付けた評価です。本人の中では、大事にしているものに使っているつもりのことが多い。何を大事にしているかが違うので、同じ1万円、同じ休日の使い方が、人によって正反対になります。
以下は、本能の囚われが強く出ているときの形です。優勢の本能に多く使い、盲点の本能に使うお金と時間が、気づかないうちに少なくなっていく。その両方を見ていきます。
自己保存:暮らしが続くかどうかに使う
自己保存が優勢の人は、お金と時間を、自分の体と暮らしが続くかどうかに使いやすくなります。
- 体の手入れ:寝具や椅子、毎日の食事、体調が崩れかけたときの通院や休み
- 蓄えの管理:毎月の貯金額、固定費の見直し、口座の残高が、通帳を見なくてもだいたい頭に入っていること
- 暮らしの拠点:家を整えること、帰れば回復できる場所と、毎日の決まった流れ
時間の使い方では、睡眠や家事、食事の時間を先に確保して、残った時間で予定を組むことが多くなります。誘いがあっても、翌日の予定や疲れ具合を見てから返事をすることが多くなります。
三つに同じように使うとは限りません。蓄えには抜かりがないのに、寝不足のまま働いている人もいます。自己保存は、ケチという意味ではありません。人に気前よくおごる人でも、自分の暮らしが回っているかが先に気になるなら、自己保存の注意が働いています。
囚われが強く出ると、備えが足りない気がして、使ってよい場面でも使えなくなります。旅行や集まりの予定が、「今月はやめておこう」で先送りになり続ける。暮らしは整っているのに、楽しみの予定がなかなか入りません。
自己保存が盲点のとき
支払いの期限、保険や契約の更新、健康診断が後回しになりやすくなります。気づくと口座の残高が少なくなっている。疲れがたまってから、慌てて休みを取る。周りからは「お金に無頓着」「生活が回っていない」と見えることがあります。本人は、ほかに大事なことがあって、そこに使っていたつもりです。
社会:つながりと場に使う
社会が優勢の人がお金と時間を多く使うのは、人とのつながりや、自分が加わっている場です。
- 場を読む:界隈や業界で何が起きているかを追う時間。人の動きや話題をつかむための情報集め
- 関係を保つ:お祝い、手土産、近況の連絡、久しぶりの相手との食事
- 場に加わる:集まりの会費、勉強会やコミュニティの参加費、幹事や係の仕事、そのための準備の時間
誘いがあると、自分の予定より先に「この集まりに出ておくかどうか」が気になります。予定表は、人と会う予定や、何かの集まりで埋まりやすくなります。
囚われが強く出ると、断ると関係が切れる気がして、誘いを受け続けることがあります。付き合いの出費が積み重なり、自分のための時間が残らなくなる。一人で休む日を、予定がない日と感じて落ち着かないこともあります。
社会が盲点のとき
集まりの会費や付き合いの出費を、もったいないと感じやすくなります。誘いの返事やお祝いの連絡が後回しになり、気づくと声がかからなくなっている。周りからは「付き合いが悪い」と見えることがあります。困ったときに声をかけられる相手が少ないことに、あとになって気づくこともあります。
融合:惹かれた相手やテーマに、まとめて使う
融合が優勢の人は、お金と時間を、惹かれた一人の相手や、夢中になったテーマに、まとめて使いやすくなります。
- 惹かれる・惹きつける:会いに行くための交通費、相手の目に留まる服や身につけるもの、気になったものをすぐ確かめに行く時間
- 踏み込む:一人の相手と深く話すための時間、一つのテーマを掘るための本や講座や道具
- 一体になる:没頭しているあいだは、時間を忘れる。気づくと夜が明けている
使い方には、波が出やすくなります。惹かれているものがあるときは、ほかを削ってでもそこに使い、気持ちが離れると、ほとんど使わなくなる。周りからは、急に熱心になったり、急に興味をなくしたりして見えることがあります。
囚われが強く出ると、一つの相手やテーマに使いすぎて、ほかの予定や支払いが後回しになります。夢中になっていた時期に買った道具が、熱が冷めたあとも部屋に置いたままになっていることもあります。
融合が盲点のとき
お金も時間も、均等に使うことが多くなります。どの付き合いにも、どの趣味にも、ほどほどに使う。そのぶん、何か一つに思い切って使うことが少なくなります。大事な人と二人で過ごす時間や、本気で打ち込みたいことのための時間を、予定に入れないまま、月日が過ぎていくことがあります。
二人で暮らすと、ぶつかりやすい
財布や休日を分け合うようになると、この違いは毎日の話になります。自己保存が優勢の人は、まず貯金と固定費を決めておきたくなりやすい。社会が優勢の人は、親族や友人との付き合いの出費を削りたがらないことが多い。融合が優勢の人は、二人で過ごす時間や、一緒に出かける体験に使いたくなりやすい。どれも、二人の暮らしを大事にしているつもりで言っています。近い関係で本能の違いがどう揉めごとになるかは、恋愛と本能に書いています。
同じ使い方でも、タイプで中身が変わる
同じ「毎月きちんと貯金をする」でも、何のために貯めているかは、エニアグラムのタイプによって変わります。囚われが強く出ているときには、こんな形で出やすくなります。
| タイプ | 貯めている理由として出やすいもの |
|---|---|
| 3 | きちんとやれている自分でいたい。数字が積み上がっていると落ち着く |
| 5 | 人に頼らずに暮らしていける余裕を、手元に残しておきたい |
| 6 | 何かあったときに困らないようにしたい。備えが足りない気がする |
| 8 | 人に頼らずに、自分と身内を守れるようにしておきたい |
本能を見ると、何にお金と時間を使いやすいかが分かります。タイプを見ると、そこで何を守ろうとしているかが分かります。外から見える使い方が同じでも、理由が違えば、使えなくなったときの感じ方も違います。
自分で確かめるには
先月のカードの明細と、カレンダーを並べてみてください。どこに多く使っていたか。どこに、ほとんど使っていなかったか。体と暮らし、人とのつながりや場、惹かれた相手やテーマ。三つのうち、ほとんど使っていないところがあれば、盲点を探す手がかりになります。
もう一つ、使ったあとの感じ方も見てみてください。使ったあとに深く満たされるところは、優勢の本能であることが多い。「ちゃんとしなきゃ」と思いながら使っていて、使っても満たされないところは、盲点の本能の中で、かえってやりすぎているのかもしれません。三つの並びを確かめたいときは、本能サブタイプ診断も使えます。
気づけると、選べるようになります。今月はどこに使い、どこを抑えるのか。どちらがよいということではありません。変わるのは、自動でそうなっているのか、自分で選んでそうしているのか、です。