エニアグラムで適職はわかるか
「タイプ○に向いている仕事」の一覧は、ネットに多く出回っています。この記事には、その一覧を載せません。載せない理由と、代わりに何を見れば仕事選びの手がかりになるかを書きます。
タイプ別の職業リストが外れやすい理由
職種の名前は、外から見える行動でついています。営業は人に会う仕事、経理は数字を扱う仕事、というように。
エニアグラムのタイプは、行動ではなく動機で分かれています。何を恐れ、何を欲しがって動いているか。同じ「人に会う」でも、認められたくて会う人、役に立ちたくて会う人、状況を把握しておきたくて会う人がいます。
外から見える動きが同じでも、中で起きていることが違う。だから、タイプと職種名を直接つなぐと外れます。同じ構造は行動と動機の断層でも扱っています。
同じ職種の中に、別の仕事が入っている
営業を例にすると、同じ名前の中に少なくとも三つの仕事があります。
| 形 | やっていること | 効いてくるもの |
|---|---|---|
| 場と立場で動く | 展示会や懇親会で顔を広げ、社内の関係者に順番に話を通す | 人と人のつながりが頭に残ること |
| 一件ごとに深く入る | 一社のために丸一日準備し、相手がまだ言葉にできていない困りごとを言い当てる | 一件に入り込めること |
| 崩れない仕組みを作る | 聞く項目や提案書の型を決め、毎回同じ品質で回す | 長く走れる形を先に組めること |
三つとも、求人票では同じ「営業」です。ある人には消耗しかない仕事が、別の人には回復の混じる仕事になります。詳しくは営業に向いているのはSOかに書いています。
エンジニアや人事でも同じことが起きます。関係者の間を往復して合意を取る仕事、ひとつの領域に長く潜る仕事、同じ手順で回せる仕組みを整える仕事。職種名はひとつでも、中身は別物です。
タイプから分かるのは、どこで消耗して、どこで回復するか
エニアグラムで分かるのは、向いている職業ではなく、仕事の中のどの場面で消耗しやすく、どの場面で力が戻りやすいかです。
たとえば同じ会議でも、
- 自分の価値が評価されている気がする場面で、張り詰める人
- 先が読めない議論が続く場面で、落ち着かなくなる人
- 自分の持ち場に口を出される場面で、ムッとする人
がいます。この違いは、3つのセンター(ハート・ヘッド・ガッツ)の違いとして読むこともできます。どれが自分に近いかで、同じ仕事の中でも疲れる場所が変わります。
ただし、ある場面で消耗しやすいからといって、その仕事ができないという意味にはなりません。消耗する場面が分かっていれば、そのあとに回復の時間を挟む、割り振りを変える、という手が打てます。
一日の終わりに、何で疲れているかを見る
自分で確かめるなら、職種名より細かい単位で見ます。
- 一日の終わりに、いちばん疲れた場面をひとつ書き出す。
- その場面で何が起きていたかを書く。人前に立っていた、先の読めない調整をしていた、口を出された、など。
- 一週間続けて、同じ種類の場面が並んでいないかを見る。
しんどかった記憶は、たいてい職種名にまとめて貼り付きます。「営業が向いていなかった」とまとめる前に、しんどかったのが商談そのものか、移動や社内調整か、人前にいた時間かを分けてみてください。
職種ごと諦める前に
辞めた理由が「この職種が向いていなかった」だと、次を選ぶときの手がかりが職種名だけになります。別の職種に移っても、その中に同じ場面が入っていれば、また同じところでしんどくなります。
逆に、合っていた部分を残せることもあります。会社を変えなくても、担当を替えるだけで消耗する時間が減る場合があります。職種を変えるより先に、仕事の中身の割り振りを見直すほうが早いこともあります。
職場の人間関係で同じことが繰り返されるときは、定位は、いまも動いているも参考になります。
仕事に求めるものを整理する
手がかりを増やすなら、次の3つを組み合わせてみてください。
- タイプ診断:動機の仮説を置く
- 本能の優先順位診断:どこにエネルギーが向きやすいか
- 仕事に求めるもの診断:仕事で外したくない条件と、今の職場との合い方
やる気が起動するきっかけもタイプで違います。タイプ別 やる気の作り方もあわせてどうぞ。