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複眼道場

営業に向いているのはSOか
── 職種の名前で切ると、外す

本能のサブタイプを知ると、職種と結びつけたくなる。社会(SO)なら営業、自己保存(SP)なら事務、融合(SX)ならクリエイティブ、のように。ただ、その結びつけ方は少し粗い。同じ職種名の中に、別の仕事がいくつも入っている。営業を例に、三つに割ってみる。本能そのものの説明は本能のサブタイプにある。

営業に向いているのは社会(SO)、という話

人と会うのが仕事で、場に出て、名前を覚えられて、輪の中で動く。だから社会(SO)が優勢な人に向いている。そう言われるし、実際そう読める場面も多い。

ただ、営業と呼ばれている仕事を並べてみると、中身がかなり違う。

営業を、三つに割ってみる

1. 場と立場で動く営業

展示会に立つ。セミナーで話す。業界の集まりに顔を出す。社内の関係部署を回して話を通す。誰と誰が繋がっているかを把握して、その線を使う。

場の中で自分がどこにいるかが、そのまま仕事の道具になる。社会(SO)が優勢だと、こういう場に出ること自体の消耗が小さい。むしろ出たあとに元気になっていることもある。

2. 一人に深く入る営業

決裁権を持つ相手ひとりに時間を注ぐ。何年もかけて付き合う。仕事の話だけでなく、その人が考えていることごと引き受ける。数は追わない。

数を捨てるかわりに、一人との距離を詰めきる。融合(SX)が優勢な人には、この詰め方が自然に出やすい。逆に、広く浅く回るほうが苦しくなる。

3. 崩れない仕組みを作る営業

同じ品質のものを毎回出す。訪問の設計を決めて、繰り返す。数字を管理して積み上げる。無理のない負荷に収めて、長く続ける。

再現性を先に作れるかどうかで決まる。ここは自己保存(SP)がいちばん強いところだと思う。長く続けられる形を最初に組んでから走るので、崩れにくい。

三つとも営業と呼ばれている。求人票では、たぶん同じ欄に並ぶ。

他の職種でも、同じことが起きる

エンジニアも、社内の議論を回して設計を通していく仕事と、一つの技術に何年も潜る仕事と、落ちないものを作り続ける仕事では、中身が違う。人事も、場の空気を作る仕事と、一人の面談に深く入る仕事と、制度を崩れないように運用する仕事に分かれる。

どれも職種名は一つしかない。

なぜ、職種名で切ると外れるのか

職種の名前は、外から見える行動でついている。営業は人に会う仕事、経理は数字を扱う仕事、というように。

本能は、行動ではなく、どこにエネルギーを配るかの話になっている。同じ「人に会う」でも、場での位置を見ている人と、目の前の一人を見ている人と、崩れない形を作っている人がいる。外から見える行動が同じでも、中で起きていることが違う。

同じ構造は行動と動機の断層でも扱っている。行動の名前で分類すると、動機のほうは見えなくなる。

見るのは、どこに時間が溶けているか

合う合わないを考えるとき、職種名より手前に、もう一段細かい単位がある。その仕事の一日のうち、どの部分に時間が溶けているか。

営業をやっていて消耗していたとして、消耗していたのが商談そのものだったのか、社内の調整だったのか、看板として人前に立つことだったのかで、話がまるで変わる。消耗していたのは、仕事そのものではなく、その中の一部分だったかもしれない。

ここは、自分では意外と見えにくい。しんどかった記憶は、たいてい職種名にまとめて貼り付いてしまうので。

職種ごと諦めると、次も外しやすい

辞めた理由が「営業が向いていなかった」だと、次に選ぶときの手がかりが職種名だけになる。営業を避けて別の職種に行っても、その職種の中に同じ部分が入っていれば、また同じところで消耗する。

逆のこともある。合っていた部分だけを取り出せる場合もある。同じ会社の中で担当を変えるだけで、消耗する部分が減ることもある。職種を変えるより先に、割り振りを変えるほうが早い場合がある。

本能は、職業適性表ではない

本能の優先順位が分かっても、向いている職業のリストは出てこない。代わりに手元に残るのは、どこで消耗して、どこで回復するかの目盛りだ。

同じ営業でも、ある人には消耗の連続で、ある人には回復が混じる。その差は、能力でも根性でもなく、どこにエネルギーが向くかの違いから来ている、と読むこともできる。

それが分かると、向いていないから辞める、以外の手が増える。仕事の中身を組み替える、という選び方ができるので。

決めつけの掟:本能の見立ては、いつでも仮説。人に貼るためではなく、自分がどこで消耗しているかを見るために使う。「あの人はSOだから営業向き」と人を割り振るためのものではない。
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