本能と、学びや趣味への入り方
本能の対象は、人に限らない
本能は、注意と時間と体力がどこへ向かいやすいかの違いです。自己保存は自分の体と暮らしに、社会は場や集まりに、融合は一人の相手や一つのことに向かいやすい。融合の「一つのこと」には、テーマや作品も入ります。社会の「場」も、職場や友人の輪に限らず、ある分野で活動している人たちや、同じものを好きな人たちの集まりを指すこともあります。自己保存の「暮らし」は、学んだことや趣味を、毎日の中にどう組み込むかに出ます。
だから、一人で黙々と本を読んでいるときにも、本能は出ています。何から手をつけるか、どこで満足するか、何を後回しにするかに、違いが出ます。
自己保存:続けられるかどうかから入る
自己保存が優勢の人は、学びや趣味を、暮らしに組み込めるかどうかから考えやすい。始める前に道具をそろえ、しまう場所を決め、週に何時間なら続けられるかを見積もる。料理なら作り置きのしかたから、運動なら体を痛めない手順から入る。お金をかける前に、それに見合うかを考えることもあります。
本能の中身を三つずつに分けた見方で言うと、蓄えの管理(お金、時間、体力の残りを見ながらやりくりする)や、暮らしの拠点(家を整え、毎日の決まった流れを持つ)に出やすい。体の手入れに出る人もいて、健康のための運動や食事の勉強を、人に言われなくても続けることがあります。
囚われが強く出ていると、役に立つかどうか分からないものに手を出しにくくなります。面白そうでも、続けられる見込みが立たないと始めない。始めてからも、決めた手順を崩されると落ち着きません。
自己保存が盲点のときは、逆のことが起きやすい。夢中になっているあいだ、食事や睡眠が後回しになる。道具や本を買いすぎて、部屋に積んだままになる。気づくと、続けられない量の予定を入れていることがあります。
社会:分野の全体像と、誰が何をしているかから入る
社会が優勢の人は、新しい分野に入るとき、分野の全体像から入りやすい。誰が中心にいて、どんな考え方の違いがあり、どの集まりに人が集まっているか。入門書より先に、分野で話題になっていることを追う。勉強会やコミュニティに顔を出して、自分が加われそうなところを探します。
三つずつに分けた見方で言うと、場を読む(その分野の空気や、言われていない決まりをつかむ)、関係を保つ(同じ趣味の人とのつながりを続ける。誰と付き合っていくかを選ぶ)、場に加わる(勉強会の運営を手伝う、仲間と何かを作る)のどれかに出ることが多く、どれに出るかは人によって違います。
囚われが強く出ていると、学ぶことが、その場での自分の位置の話になりやすい。何を知っているかより、誰と知り合いか、その分野の人たちからどう見られているかが気になる。人が集まっている分野へ、次々と移っていくこともあります。
社会が盲点のときは、分野の全体像や人とのつながりを持たないまま、一人で進みやすい。独学でかなり詳しくなっているのに、ほかの人が何をしているかを知らず、同じことをすでに誰かがやっていたと後から知ることがあります。学んだことを人に見せたり、発表したりする機会も逃しやすくなります。
融合:惹かれた一つに、深く入っていく
融合が優勢の人は、学びや趣味でも、人と関わるときと同じような入り方をすることが多い。融合の中身は、深まっていく順に三つに分けられます。惹かれる・惹きつける、踏み込む、一体になる。深まる順に並べていますが、深いほうが上という意味ではありません。
- 惹かれる・惹きつける:ある本の一節や、ある作品、ある人の話し方に、理由が分からないまま強く惹かれる
- 踏み込む:入門書を一冊読んで終わりにせず、原典や、作者のほかの作品まで追いかける
- 一体になる:対象との境界が溶けて、気づくと何時間もたっている。終わったあと、ものの見方が少し変わっている
融合の対象が人に限らないことは、「セクシャル」という名前の誤解にも書いています。
囚われが強く出ていると、手応えがなくなったところで興味が薄れます。基礎の反復のように、深く入れない時間が続くと、続けるのが苦しくなることがあります。次に惹かれるものが見つかると、前のものに手をつけないまま移ることもあります。
融合が盲点のときは、広く知っていても、一つのことに深く入る時間を持ちにくい。資格や知識は増えているのに、時間を忘れて没頭した覚えがあまりない。役に立つか、人とつながれるかで選んでいて、自分が何に惹かれているのかが分からなくなっていることもあります。
同じ融合でも、タイプで中身が変わる
融合が優勢でも、何に、どのくらいの期間入り込むかは、エニアグラムのタイプによって変わります。たとえばタイプ7だと、面白そうなものに次々と惹かれ、移りながら、そのたびに深く入っていく形になりやすい。タイプ5だと、少ない対象に、長い時間をかけて入り込む形になりやすい。
外から見ると、タイプ7は興味があちこちに散っている人に、タイプ5は一つのことに閉じこもっている人に見えることがあります。入り方の深さは、どちらも同じくらいのことがあります。違うのは、いくつの対象を持つかと、一つにどれくらい留まるかです。
自己保存や社会でも同じことが起きます。本能からは注意がどこに向くかが、タイプからはそこで何を守ろうとしているかが見えてきます。
エニアグラムの学び方にも出る
本能による入り方の違いは、エニアグラムそのものを学ぶときにも出ます。自己保存が優勢なら、日常で使える形になっているか、無理なく続けられる学び方かが気になる。社会が優勢なら、どんな流派があり、誰がどう教えているかから入ることが多い。融合が優勢なら、自分に引っかかる一つのタイプや考え方に、深く入っていくことがあります。本、診断、対話、ワークショップのどれから入るかの全体は、エニアグラムの勉強の仕方にまとめています。
自分で確かめるには
最近始めたこと、続いていること、やめたことを、一つずつ思い出してみてください。始めるとき、最初に何をしたか。道具や時間の見積もりだったか、その分野の人や集まりを調べることだったか、気になった一つにすぐ手をつけることだったか。やめたとき、何が理由だったか。続けられなくなったのか、集まりが合わなくなったのか、手応えがなくなったのか。
どの入り方にも覚えがないと感じるものがあれば、盲点の手がかりになります。ただ、ここで見ているのは、学びや趣味という一つの場面です。人付き合いや仕事の場面とあわせて見ると、並びがはっきりしてきます。本能サブタイプ診断で三つの並びを確かめてから、もう一度この記事を読むのも一つの方法です。