エニアグラムは怪しいのか
エニアグラムを調べると、九芒星の図形や「タイプ別○○」の言い切りが次々に出てきて、怪しく見えることがあります。そう感じるのは自然です。この記事では、エニアグラムがどこから来て、何が確かめられていて、何がまだ弱いのかを、そのまま並べます。
なぜ怪しく見えるのか
怪しさの出どころは、いくつかに分けられます。
- 図形。円の中に九つの点を置いて線でつないだ図は、見た目が神秘的です。
- 言い切り。「タイプ4は芸術家」「タイプ8とタイプ9は相性最悪」のような断定が、ネットには多く出回っています。
- 当たっている感じ。診断結果を読むと、多くの人が「当たっている」と感じます。当たりすぎると、かえって疑わしくなります。
図形はエニアグラムの出自の話です。言い切りは使われ方の話で、当たっている感じは、どんな性格の説明を読んでも起きる心理の話です。混ぜずに、ひとつずつ見ていきます。
図形と中身は、出自が違う
九つの点をつないだ図形そのものは、神秘思想の系譜から来ています。図形だけを取り出すと占いに近い印象を受けるのは、そのためです。
一方、いま広く使われている9タイプの中身は、20世紀の後半以降に、実際の人を観察して、動機のパターンを9つに整理したものです。何を恐れ、何を欲しがり、そのためにどう動くか。人の話を聞き、行動を見て、そこから記述が組み立てられてきました。
図形と中身を分けて考えると、「図形が神秘的だから中身も根拠がない」とも、「中身が観察から来ているから図形まで正しい」とも言えないことが分かります。複眼道場が使っているのは、中身の動機の記述です。
確かめられていること、まだ弱いところ
| 観点 | いまの状態 |
|---|---|
| 統計的な検証 | 学術的な研究はありますが、数も規模も、ビッグファイブのような性格理論ほどの厚みはありません。数字での裏付けを最優先するなら、ビッグファイブのほうが向いています。 |
| 記述の筋の通り方 | 恐れ、欲求、動機、行動、そして余裕の有無による出方の幅までが、同じ前提からつながって説明されています。 |
| 自分で確かめられるか | 内省で確かめられます。自分がいちばん避けたいものを思い出し、その避け方が日常の動きに出ているかを見ます。 |
| 状態による変化 | 同じタイプでも、余裕があるときとないときで別人のように出ることを、健全度として体系の中で扱っています。 |
数字での検証の厚さは、ほかの性格理論に比べて弱いところがあります。そこを認めたうえで使う道具です。どの診断が何を測っているかの違いは、性格形成の階層と診断となぜ複眼道場はエニアグラムを核に据えるのかにまとめています。
その代わり、ばらばらの特徴を並べたものではなく、ひとつの恐れから行動までが筋でつながっています。たとえば「支配されたくない」という恐れがあると、自分を守りたい欲求が生まれ、主導権を握る動きになります。余裕がないときは押しつけとして、余裕があるときは人を守る力として出ます。筋が通っているかどうかは、自分の場面に当てて確かめられます。
「当たっている感じ」は、根拠にならない
誰にでも当てはまる曖昧な説明を、自分のことだと感じる。当たった部分だけを覚えて、外れた部分は忘れる。性格の説明を読むと、こうした心理が働きます。占いでも性格診断でも同じです。
だから「読んだら当たっていた」は、エニアグラムが正しい証拠になりません。確かめるなら、当たっている部分より、外れている部分を探すほうが役に立ちます。
もうひとつ、見るのは「何をするか」ではなく「なぜするか」です。同じ行動でも、理由が違えば別のタイプになります(行動と動機の断層)。動機まで下りて、自分にしっくりくるかを見ると、当たっている感じに流されにくくなります。
占いとは、どこが違うのか
| 占い | 複眼道場のエニアグラム | |
|---|---|---|
| 土台 | 天体の配置や、象徴の対応表 | 観察された動機のパターン |
| 結論の出し方 | 外から告げられる(予言) | 自分で読み解く(読解) |
| 変化の扱い | 星回りで決まる流れ | 余裕の有無で変わる、出方の幅 |
| 最後に決めるのは | 占い手の解釈 | 本人 |
占いを否定するつもりはありません。占いが長く続いてきたのは、性格、関係、時期、時代という、人が気になることに正面から応えてきたからです。違うのは、何に依って語るかと、結論を誰が持つかです。詳しくは占いと複眼道場に書いています。
怪しくなるのは、たいてい使い方
道具そのものより、使い方のほうに怪しさが出ることがあります。
- 他人のタイプを決めつける。「あの人はタイプ8だから」と、本人の話を聞かずにラベルを貼る。
- 性格を言い訳にする。「タイプ7だから続かない」と、変わらない理由の置き場にする。
- タイプで人を振り分ける。採用や配属を、タイプを理由に決める。
- 診断結果を確定させる。一度の診断で出たタイプを、そのまま自分だと思い込む。
どれも、エニアグラムの中身から外れた使い方です。複眼道場では、タイプは仮説として扱い、人に貼るためではなく自分を見るために使う、という決めつけの掟を置いています。
自分で確かめるには
信じるか疑うかを決める前に、自分の場面で確かめてみるのが近道です。
- 診断を一度受けて、仮のタイプを置く。タイプ診断は無料で、登録なしで使えます。
- そのタイプの説明を、当たっている部分より、外れている部分を探しながら読む。
- 日常で引っかかった場面(怒った、落ち込んだ、妙に張り切った)を思い出し、そこで何を避けようとしていたかを見る。
- しっくりこなければ、別のタイプに置き直す。タイプは診断で決まるものではなく、最後は自分で決めるものです(タイプを自分で決める)。
確かめてみて役に立たなければ、使わなくていい道具です。