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追い詰められたとき、何が出てくるのか

追い詰められると、自分でも驚くような顔が出ることがあります。エニアグラムには、それを説明する道具がたくさんあります。健全度、矢印、ウィング、三つ組。道具から入ると、どれで説明すればいいのか迷います。この記事では順番を逆にして、先に「何が起きているのか」「成長とは何か」を置き、そのあとで道具を並べます。

追い詰められると、人はどうなるか

まずはエニアグラムの言葉を使わずに書きます。強い負荷がかかったとき、多くの人に起きることです。

逆のことも起きます。安心できる相手の前や家の中では、ふだん着ている鎧がゆるみます。外では見せない世話焼きな面や、甘えた面が出ることもあれば、外では抑えている雑さや不機嫌が出ることもあります。外と家で別人に見えるのは、多くの人に心当たりがあると思います。

どちらも、その人が壊れているわけではありません。負荷や安心の度合いによって、表に出てくるものが入れ替わっている、という見方ができます。

成長とは、対応範囲が広がること

では、成長とは何でしょうか。複眼道場では、成長を「対応範囲が広がること」と考えています。器という言葉で言えば、扱える文脈の幅が広がることです。自分とは違う人を受け止められる。矛盾を、どちらかに潰さずに抱えられる。「絶対こうだ」を「こういう見方もある」に開ける。そこには、引き受ける、断る、距離を取る、環境を変える、を状況に応じて選べるようになることも含まれます。

広がり方には三つの段階があります。

見える自分のパターン(鎧、偏り、反応)が見える
選べる見えたうえで、乗るか降りるかを選べる
動ける選んだ通りに動ける

追い詰められる場面との関係で言うと、成長は「追い詰められなくなること」ではありません。追い詰められることは、多くの人に、これからも起きます。変わるのは、らしくない顔が出たときに気づくまでの時間と、いつもの自分に戻ってくるまでの時間です。

気をつけたい取り違えも二つあります。ひとつは、ストレスで別の顔が出たのを「成長した」と読むこと。追い詰められて静かになったのが、余裕ができたからなのか、消耗して引っ込んだだけなのかは、外からはほとんど区別がつきません。もうひとつは、苦しさを成長の証拠と思うこと。慣れたやり方の外に出るときの居心地の悪さはありますが、休んでも戻らない、生活が回らない、怖さが強まり続けるなら、それは負荷を下げるサインです。

成長の考え方そのものは、複眼道場における成長とはに詳しく書いています。

出てくる顔は、どこから来るのか

追い詰められたときに出てくる顔には、いくつかの出どころがあります。エニアグラムの言葉で並べると、次の5つです。性格を層で見る考え方(性格形成の階層と診断)に合わせて、深いほうから並べます。

感情・動機・行動の3つの層と、そこから出てくる顔 行動(表面) 三つ組の出方:引っ込む/押す/しがみつく、最初の反応 動機 自分のタイプの不健全/ウィング側の不健全 矢印の先のタイプの不健全 感情(いちばん深い) センターの根本感情:恥/不安/怒り
層出てくるものどんな形で出るか
感情センターの根本感情恥、不安、怒りが、タイプの形をとる前に出てくる
動機自分のタイプの不健全根っこの恐れが強くなり、いつものやり方が行き過ぎる
動機ウィング側の不健全隣のタイプの色が、不健全な形で混ざる
動機矢印の先の不健全線でつながった別のタイプの、不健全な面が出る
行動三つ組の出方後退型は引っ込む、主張型はもっと押す、従順型は決まりや役割にしがみつく。問題が起きた瞬間の最初の反応(楽観的、合理的、反応的)が、そのまま強く出ることもある

どれが先に出るか、どれが強く出るかは、人によっても場面によっても違います。決まった順番はなく、いくつかが重なって出ることもあります。

同じ「引きこもる」でも、出どころは一つではない

たとえばタイプ8の人が、追い詰められて人と連絡を絶ち、ひとりで考え込むようになったとします。エニアグラムの理論では、タイプ8の矢印の先はタイプ5なので、「矢印の先の5の不健全な面が出ている」と読めます。一方で、追い詰められて人から離れるのは、後退型の典型的な出方でもあります。単に、怒りを向ける先が見つからずに疲れ切っているだけかもしれません。

外から見えるのは同じ行動です。どの層から来ているのかは、外からは分かりません。本人にも、すぐには分からないことが多いです。

安心できる場所で出る顔も同じです。エニアグラムでは、気を許せる相手の前では成長の矢印の先のタイプの顔が出やすい、と言われることがあります(セキュリティポイントと呼ばれます)。安心すると鎧がゆるむ、というところまでは多くの人に当てはまります。そこで出てくるのが何番のタイプの顔かは、候補のひとつとして見ておくのがいいと思います。

道具には、それぞれ持ち場がある

ここまでの話を、エニアグラムの道具ごとに整理します。どれも「何を見るための道具か」で考えると、使い分けがしやすくなります。

道具何を見るためのものか使うときの目安
健全度同じタイプの中での、状態の幅状態を説明するときの主軸。説明のつかない行動を見たら、まず健全度を疑う
センターいちばん深い層の感情(恥、不安、怒り)何に反応しているのかを見る入口
タイプとウィング根っこの恐れと、隣の色の混ざり方ウィング側にも健全度がある。追い詰められたときは、ウィングの不健全も出てくる
矢印状態が動いたときに、どのタイプの色が混ざりやすいかエニアグラムの基礎理論のひとつ。先に予測を置くのにも、出た顔からタイプを推す逆引きにも使える。特定の人に当てはめるときは仮説として置く
三つ組(社会的スタイル、ハーモニクス)行動に近い層での、反応の出方人への向かい方と、問題への最初の反応。社会に出てから身につくこともある
セキュリティポイント安心できる場所で出る顔安心すると鎧がゆるむ、までは言い切ってよい。何番の顔かは候補

成長の矢印については、複眼道場では「向かうべきタイプ」ではなく、後回しにしてきた努力の向きとして読んでいます。苦手を直すのではなく、しにくかった努力を時間をかけて積んだ先に、届く範囲が広がる方向です。

使い方

最後に、実際に使うときの目安を四つ置きます。

やられていちばん嫌なことを、追い詰められると自分がしてしまう、という形の出方もあります。それについては不健全のサインに、安心や環境で状態が一時的に動く話は環境とステートに書いています。

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